月見もりそば(生玉子の冷し月見そば) - 東京立ち食いそば
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- 月見もりそば(生玉子の冷し月見そば)
月見もりそばとは何か?
月見もりそばとは、そばつゆに生玉子を浮かせたもりそばである。
月見そばは、玉子そばであるが、やっぱり玉子そばではない。玉子の黄身を月に見立てて「月見そば」という。情緒がある。風情がある。月見そばは「月見そば」と名付けられたことで、玉子そばにはない何かを感じさせてくれる品目になった。
月見そばとは、生玉子を浮かせたかけそばである。月見そばとは、月見かけそばなのだ。なぜ月見かけそばがあって、月見もりそばがないのだろう。
2011年12月28日の出来事だ。Googleで「"月見もりそば"」を検索すると、ヒット数は9件だった。言葉は大切である。「もりそばに生玉子を追加して食べた」では情緒のかけらもないのだ。「月見もりそばを食べた」としたうえで「闇夜に満月が見事に輝いていました」と続けるのが素晴らしい。
ちなみに、2013年2月時点で、Googleで「"月見もりそば"」を検索すると、ヒット数は約1,500件だった。月見もりそば: らいくあらーめんが先頭である。これが有名なブロガーのチカラなのだろうか。これぞ月見もりそば、早く正式料理名にならないかなぁ
とある。素晴らしい。「もりそばに生玉子を追加して食べた」では美味くなくても、「月見もりそばを食べた」とすると美味くなる、そんな幸せなことが実際に起きるのだ。些細なことで誰もが幸せになれるのに。
月見もりそばは風情があって、美しい。まず、月見そばよりも見た目が美しい。そばつゆは闇夜である。そこに玉子の黄身が満月として輝く。玉子の白身がその透明感で月の光を朧げにする。
そばつゆにネギを入れてから生玉子を溶く。
確かに月見もりそばは風情があって美しいが、それだけではない。美味いのだ。月見もりそばはとても美味いのである。
少しでも考えてみれば当然のことではある。ご飯がある。おかずはない。出汁醤油だけを垂らして食べるのと、生玉子を入れて出汁醤油を垂らして食べるのとでは、その美味さは決定的に違わないだろうか。言うまでもない。醤油ご飯は食べるのがつらいことがあっても、玉子かけご飯ならば美味くて堪らない。
月見もりそばを試したことのない方には強くオススメする。生玉子の白身が苦手でないならば、一度は試してみるべきだ。そばを啜ったときに玉子の濃厚さが加わる。美味いのだ。残念ながらボリューム増の感覚はほとんど得られない。しかし、月見もりそばは最後の最後にまた楽しめる。そば湯を注いで、そばつゆを飲んでみてもらいたい。玉子の濃厚さは締めのそば湯にまで影響を及ぼすのだ。
月見そば・月見もりそばの玉子の食べ方
月見そばの玉子の食べ方
- 最初に生玉子だけを吸う。
- 最初に生玉子をそばつゆに溶いて、溶き玉子にして食べる。
- 途中で生玉子をそばつゆに溶いて、溶き玉子にして食べる。
- 生玉子の黄身だけをそばに絡めて食べる。生玉子の白身は別に吸ってしまう。
- 生玉子の黄身だけをそばに絡めて食べる。生玉子の白身はそばつゆに溶いて、溶き玉子にして食べる。
- 最後に生玉子だけを吸う。
生玉子の黄身をそばに絡めて食べると美味い。しかし、そばつゆに溶くと、塩分の多いそばつゆを飲み干さなければ、生玉子がもったいない。だから生玉子だけを食べてしまう方も出てきてしまう。ジレンマに陥る。
月見もりそばの玉子の食べ方
- 生玉子をそばつゆに溶いて食べる。
- 生玉子の黄身だけをそばに絡めて食べる。生玉子の白身は別に吸ってしまう。
生玉子の黄身をそばに絡めて食べると美味い。
月見そばと違って、月見もりそばは、そばつゆが最初から冷たい。そして、そばつゆはそば湯で割って飲み干すのが前提である。
月見そばの玉子の食べ方が千差万別になるのと比べて、月見もりそばの玉子の食べ方は実にシンプルだ。
作者:馬場飯