吉そばはまずい?……実は誤解がある - 東京立ち食いそば

吉そばは不味い。そんなコメントを見かけることが増えた。確かに吉そばが不味いとは何年も前から言われ続けていることではある。

吉そばは大きく二つに区分される。生そばの店舗と茹でそばの店舗だ。見分けるのは簡単だ。メニューや券売機を見ればいい。ざるそばやもりそばがあれば生そばの店舗で、冷しかけそばがあれば茹でそばの店舗だ。そして、吉そばの大多数はいまだ茹でそばの店舗なのだ……と書こうとして驚いた。

吉そばの店舗のなかには、ざるそば、もりそば、冷しかけそばの全てを販売している店舗があった。さすがに、ざるそばやもりそばを提供しているのだから茹でそばではなく、生そばだろうと考えつつも、調査すると確かにそのようだ。吉そばの生そばの店舗と茹でそばの店舗の正確な見分け方は、ざるそばともりそばの販売の有無になる。販売されていれば生そばで、販売されていなければ茹でそばだ。冷しかけそばが販売されていても生そばの店舗があるのだ。

続いて驚いたのが、茹でそば提供店舗の少なさだ。次の5店舗だけだった。

次の9店舗は生そば提供店舗だ。

2019年9月時点で、茹でそば提供店舗よりも生そば提供店舗のほうが数が多かった。

一般的に茹でそばよりも生そばのほうが美味いと言われている。個人的にも同感だ。こうした嗜好が茹でそばから生そばへの切替を加速させ続けてきたのだろう。

しかし、人は貪欲だ。日常的には生そばを食べたいのだけれども、時折、茹でそばを食べたくなるのだ。茹でそばにも色々と種類がある。ボソボソとした食感の太い茹でそばこそ昔ながらの代表的な茹でそばだが、吉そばの茹でそばは中太で食感もボソボソしていないのだ。かなり生そばに寄せた味わいになっている。個人的には、このライトな茹でそばを冷しかけそばで食べたくなることがある。ぶっちゃけて言えば、そういうときに食べる吉そばの茹でそばは美味い。コレコレ、この食感だよね、と膝を叩きたくなるものなのだ。他店で代替できない吉そばの味なのである。

一般的な話に戻すと、茹でそばよりも生そばのほうが美味いとされている。吉そばが不味いと言われ続けているのは茹でそばこそが原因だと思う。よく知らず、生そばのつもりで茹でそばを食べる。不味いと感じる。不味いと腹が立つ。SNSで不満を呟こう。拡散される。吉そばが不味いと拡散される。吉そばの茹でそばが不味いのではない。吉そばが不味いとなるのである。

生そば提供店舗の吉そばを食べる人もいる。美味いと感じる。嬉しくなってSNSを見る。ところが、SNSでは吉そばは不味いと拡散されている。美味いような不味いような気がしてくる。美味かったというSNS報告を中止する。

結果として、美味いよりも不味いが勝利する。現在はこういう状況下にあるんじゃなかろうか。

ともあれ、吉そばの茹でそばが全て生そばに置き換えられるのは困る。幸いにも最も頻繁に利用している吉そばは高田馬場店で、次が日本橋店だ。どちらも茹でそばだ。まだ生き残っている。しかし茹でそばが駆逐されそうな勢いであることは間違いない。

どうすりゃいいんだろう?……誰もが不味い、不味いと言い続けると、吉そばの茹でそばが終了してしまう。そんなの絶対にだめだ!

個人的な事情から高田馬場店を最終防衛ラインとして設定しよう。吉そば高田馬場店は美味い吉そば高田馬場店は昔ながらの吉そばの味わいを残した名店だ。微力ながらも、吉そばの茹でそばの魅力を発信することにする。熱意だけは分かっていただきたい。

しかし、最後にアレだが、マジでヤバいでしょ。吉そばの茹でそばファンは本ページに辿り着く可能性が多いはずだけれども、食べられなくなっちゃうのは淋しすぎるよ。まぁ、確かに極めて個人的な嗜好によって焦りを駆られているだけではあるのだけれども。吉そばの茹でそば、美味すぎ、ブラボー!

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作者:馬場飯