天丼・天ぷら本舗 さん天 - 東京天丼

天丼・天ぷら本舗 さん天とはSRSグループの天丼チェーン店である。

SRSグループは和食さとを展開しており、和食さとに次ぐブランドが、天丼・天ぷら本舗さん天になる。2019年12月時点で関西を中心に43店舗を展開している。関西以外では、埼玉県8店舗、愛知県3店舗、徳島県1店舗の合計12店舗となる。

さん天は390円という破格で天丼を販売しており、てんやを脅かす天丼チェーン店として拡大を続けているが、まだ関東では埼玉県にしか店舗を展開していないため、関東での知名度は非常に低い。さん天には東京都にも新店舗を早く展開していただきたい。とても楽しみである。

さん天の39天丼

さん天の39天丼は、海老・イトヨリ鯛・野菜3個・海苔の天丼で390円だ。

天丼てんやは、2018年1月11日に天丼の価格を540円に値上げしたが、創業以来、そのときまで天丼を500円以下で販売し続けてきた。てんやの最大の強みはフライヤーにあった。コンピューターで油の微妙な温度調整を制御できるコンベアフライヤーを独自に開発したことで、熟練した天ぷら職人の代わりに低賃金のアルバイト雇用によって人件費が削減でき、天丼を500円という価格で販売することが可能となった。

さん天の39天丼は300円台だ。てんやの強みであったオートフライヤー導入を踏襲したうえで、さらに何かプラスアルファの強みをもっているに違いない。気になったので、調べてみたところ、全く予想外の結果となった。

さん天はそもそもオートフライヤーを導入していなかった。材料に工夫をして、素人でも上手く揚げられるような仕組みにしたのだそうだ。魔法だ。さん天マジックだ。全く意味が分からない。材料にどのような工夫をしたら、素人でも上手く揚げられるようになるのだろうか。

天ぷらは揚げ方が難しい。だからこそ、天ぷら職人がいるわけだ。油の温度管理がとにかく難しく、天ぷらの揚げ加減の見極めも難しい。オートフライヤーはその両方を解決した。油の温度調整はコンピューター制御だ。揚げ加減は90秒間で最適に揚がるように、食材の大きさや厚みが工夫されている。……食材の大きさや厚みを工夫?

さん天の工夫が少し理解できた。おそらく油の温度が自動的に一定に保持されるフライヤーを使用しているに違いない。天ぷらで最も厄介なのは油の温度管理だ。さすがにこの点は自動化されているに違いない。そして、食材の大きさや厚みを工夫することで、90秒間ならば90秒間、120秒間ならば120秒間、一定時間で天ぷらが最適に揚がるように統一しているのだ。店員は天ぷらの揚げ加減を見極める必要はない。店員は天ぷらが最適に揚がった瞬間にタイマーのアラームで天ぷらを油から上げるように指示されるのだ。オートフライヤーの場合、最適な時間に天ぷらは自動的に油から引き上げられるが、さん天の場合、そこが店員の手作業となる。しかし逆に言えば、その程度の差しかないともいえる。

さん天とてんやで決定的な品質の違いが生じるだろうか。当初、予想していたよりも、それほど違いがないような気がしてしまう。もちろん店員のオペレーションミスが発生する可能性は、てんやよりもさん天のほうが高い。さん天では数十回か、数百回に一度、揚げすぎの天ぷらが提供されることになるかもしれない。だが、てんやの天丼が540円で、さん天の天丼が390円である。あまりにも価格差が大きすぎる。

てんやの天丼はもう注文する必要がないかもしれない。さん天の天丼で十分に満足できてしまうのではないだろうか

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作者:馬場飯