大勝軒(つけ麺発祥の店,大盛麺の愛情) - 高田馬場B級グルメ

大勝軒はつけ麺発祥の店である。

大勝軒は代々木上原系、東池袋系、永福町系、人形町系と4系統あるが、つけ麺で有名な大勝軒は東池袋系だ。

丸長系
屋号は「丸長」。
創業は1948年。本店は杉並区荻窪4-31-12。青木勝治氏、青木保一氏、青木甲七郎氏、山上信成氏、坂口正安氏の5名が共同経営で開店した。この丸長から、青木保一氏の阿佐ヶ谷「栄楽」、青木甲七郎氏の川南「栄龍軒」、山上信成氏の荻窪「丸信」、坂口正安氏の中野「大勝軒」が分かれた。
系列店は丸長のれん会名簿、その系譜は丸長のれん会のルーツで確認できる。
代々木上原(・中野)系
屋号は「大勝軒」。
創業は1951年12月。本店は渋谷区上原1-17-11。創業者は坂口正安氏。現店主は古屋隆法氏。
1951年12月に、坂口氏が、従兄弟の山岸一雄氏と中野で大勝軒を開店。
1954年に、代々木上原に大勝軒を出店。代々木上原を本店として、中野は支店として山岸氏に任される。
この中野から代々木上原への系統が代々木上原系である。
つけ麺は「つけそば」と呼ばれる。
系列店は丸長のれん会で大勝軒として登録している。
東池袋系
屋号は「大勝軒」。
創業は1961年6月6日。本店は豊島区南池袋2-42-8。店主は初代山岸一雄氏から二代目飯野敏彦氏になった。
1961年6月6日、代々木上原大勝軒の支店である中野大勝軒を任されていた山岸氏は東池袋で独立開業した。
この東池袋の系統が東池袋系である。
つけ麺は「もりそば」と呼ばれる。
系列店は大勝軒のれん会で確認できる。
永福町系
創業は1955年3月。本店は杉並区和泉3-5-3。店主は草村賢治氏。
人気店であり系列店も多いが、丸長系とは無関係である。
人形町系
創業は1912年。いわゆる街の中華料理屋である。

なお、大勝軒の系譜についてはニコニコ大百科が詳しい。

東池袋大勝軒

1961年6月6日に山岸一雄氏が創業。2007年3月20日に一時閉店したが、2008年1月5日に弟子の飯野敏彦氏が二代目店主として継承した。東池袋、南池袋、滝野川の3店舗が直営店。系列店は大勝軒のれん会の加盟店で多数ある。2009年8月9日現在で59軒。

山岸氏が言うには「量も味のうち」である。大勝軒のもりそば(=つけ麺)はとにかく満腹になる。ありがたい。その心意気に百万遍の拍手だ。飯野氏は「2階には製麺所を設え、麺に関しても昔の味を再現するつもり」『dancyu』(2008年2月号)とのこと。つるりとしたソフト感の中にもコシがしっかりとした食感*を目指していただきたい。大歓迎である。

大勝軒の麺は、口当たりのつるりとしたストレートな太麺で量がとても多いが、残念なことにコシのない柔らかい麺であることが多い。コシがしっかりとした食感が加わったら、これほど幸せなことはない。つけ汁は、甘味と酸味が強い。魚粉全盛の時代だが、これは伝統である。悪くない。この味に出会うと大勝軒でもりそばを食べているんだと実感できる。具は、チャーシュー、メンマ、ゆで玉子、ナルト、海苔、ネギだ。ナルトと海苔は小さい。オマケみたいなものだ。チャーシュー、メンマ、ゆで玉子がメインだ。全てつけ汁のなかに入っている。このスタイルは数多くのつけ麺のなかでも大勝軒のもりそばとして今後も生き残り続けるだろう。

なお、1990年10月には『dancyu』でレシピを完全公開したらしい。『OYSYラーメン』(柴田書店、1994年)でもレシピを公開しているようだ。ウェブでも確認できる。

2009年8月9日のことである。あつもりを食べた。700円だった。

麺がとても残念だった。ストレートの中太麺だ。コシが全くない。柔らかすぎだ。ふやけている。今回に限ったことではない。数ヶ月前に食べたときも柔らかすぎる麺だった。

本来はコシのある食感らしい。東池袋大勝軒で修行していた店主の麺がまさにそれだった。太麺ではあったが、口当たりのツルっとした食感でコシがあり、モチモチしていた。とても食べ応えのある麺だ。美味かった。これが本来の麺なのだろう。

つけ汁は豚骨魚介系の醤油ダレがベースだ。たっぷりの量である。麺がつけ汁をあまり引き上げてくれないので、すすりながら食べる。甘味の強いつけ汁は、食べた後も暫くは口中に甘味が粘りつく。酸味も強いつけ汁だ。甘酢らしい。後味が引っ張るが悪くはない。辛味の際立ったつけ汁のほうが好みだが、これはこれで美味い。

麺が全てを台無しにしているつけ麺だった。

訪問履歴

  1. 2009年08月09日あつもり@東池袋大勝軒

店舗

営業時間

11:00から18:00まで。売切仕舞。年中無休。

住所

豊島区南池袋2-42-8

首都高速5号池袋線のガード下。東池袋駅(有楽町線)・東池袋四丁目駅(都電荒川線)から池袋駅に向かって徒歩数分。

参考

高田馬場大勝軒

店外観

高田馬場大勝軒は2003年4月に松川栄基氏が創業。

早稲田通りから坂道を登る。向かうは高田馬場大勝軒だ。左手に店が見える。もう少し登るとやはり左手にやすべえが見える。行列はない。店に入る。右手に食券販売機がある。食券を購入して、給水機で氷水を入れてから、カウンター席に座る。

麺

もりそば大盛(辛味トリプル)を食べた。680円だった。大盛は440gだ。辛さは三段階選べるが最も辛いトリプルで注文した。

麺

麺はストレートな太麺だ。コシがある。もちもちとしている。美味い。大勝軒の麺はコシが弱く、ゆですぎかとも思えるほど柔らかいことさえある。とても残念なのであった。

高田馬場大勝軒は違った。今まで食べた大勝軒の麺のなかで最もコシがあり、もちもちとした食べ応えも残っている。とても美味い。

麺

つけ汁は辛味トリプルにしたが辛くない。本来は甘酸っぱいつけ汁のはずなので、相殺されているのかもしれない。美味い。豚骨魚介系の醤油ダレがベースのつけ汁だ。辛味が浮いておらず、ベースにしっかりと馴染んでいる。しかし太麺はつけ汁と絡みにくかった。レンゲでつけ汁を啜りながら麺と一緒に食べる。食べづらいが美味さに変わりはない。大勝軒の甘酸っぱいつけ汁に辛味を加えるとこんなに美味くなるとは思わなかった。

具は角切チャーシュー、メンマ、海苔、刻みネギだ。チャーシューは細切りにされている。量が少なく残念だが、細切りにすることでつけ汁に浸って美味い。メンマは普通で、海苔は1枚で小さめ。大勝軒の海苔にしてはそこそこの大きさだ。ゆで玉子、ナルトは入っていない。ナルトはともかく、ゆで玉子がないのはとても残念だ。

卓上にはタマネギ、魚粉、ラー油、胡椒、酢がある。麺を半分ほど食べ終わったころ、タマネギをつけ汁に投入する。タマネギにつけ汁を浸してから、麺と一緒に食べる。美味いのでたくさん入れる。つけ汁が薄まるので、魚粉とラー油で味を調整する。魚粉を控えめにしたが、思い切って投入したほうがよかったかもしれない。

高田馬場大勝軒は他の大勝軒と比べて何よりも麺に特徴がある。コシのある太麺がとにかく美味かった。残念なのは具が少なめなことだが、予想外に充実したもりそばだった。

訪問履歴

  1. 2009年11月03日もりそば大盛(辛味トリプル)@高田馬場大勝軒

店舗

営業時間

11:00から19:30まで。定休日は日曜日。

住所

新宿区高田馬場1-23-7

早稲田駅からBIGBOX脇の坂道より一つ東側の裏道を登った左側。

参考

江戸川橋大勝軒

店外観 卓上調味料

江戸川橋大勝軒は、暖簾分けされた多数の大勝軒のなかで、良くも悪くも野卑で品のない店の一つだといえる。この店で知ったのは、そういう店でしか提供されないだろうメニューがあって、そういうメニューこそが意外にも美味いということだった。

店の正面右半分にはテラスと呼ばれるバラックがあって、そこでも飲み食いができるようになっている。食券機と給水機も店外にある。食券を購入して、コップに給水機で氷水を入れてから、そのコップを片手に店内に入る。適当な席に腰掛け、食券を店員に渡せば、注文の詳細を一言二言尋ねられるので、それに答えたら、後は待つだけだ。

卓上には、GABANのブラック&ホワイトペッパー、七味唐辛子、酢、辣油、豆板醤、おろしニンニクがある。残念なことに前客が食べた汚れが残っていることが多い。布巾があるので、まずは綺麗に拭こう。

店内の壁には多数の貼紙がしてある。来訪する度に少しずつ変わっていっている。新メニューや休日営業をはじめる案内だとか、タクシー運転手向けの割引情報だとか、その内容は様々だ。読みながらあれこれと考えているだけでも、待ち時間の暇を潰せる。例えばカウンターに貼られたテプラだ。満足した方は、どんぶり・コップをカウンターの上にお願いしますとある。満足しなかった場合はどうしようか考えるだけでも結構な暇潰しだ。

メニュー(価格)

食券機

品名価格
中華そば中華そば700円
ワンタン900円
メンマ950円
チャーシュー
もりそば
あつもり
もりそば
あつもり
730円
ワンタン930円
メンマ980円
チャーシュー
その他たれそば600円
冷し中華
ばそカリー
カリーライス
カクテキライス280円
スープ温野菜300g250円
品名価格
パーツ味噌+180円
梅塩
カレー
キムチ
トッピング生バター+50円
コーン
生玉子
ゆで玉子
単品味付け玉子100円
メンマ330円
チャーシュー
飲み物焼酎250円
350円
ビール600円

麺は普通で350gだが、+100円で中盛400g、+150円で大盛700gも選べる。

訪問履歴

2011年09月03日ばそカリー

ばそカリー

2011年9月3日に江戸川橋大勝軒で、ばそカリーを食べた。600円だ。カレーそばではない。ばそカリーで正しい。なぜ品名をばそカリーとしたのかは不明だが、元祖ばそカリーを看板に掲げるほどの力の入れようだ。なお、以前は500円で、その後550円に値上がりし、今や600円になったようだ。500円や550円の頃は具としてチャーシューが入っていなかったようだ。チャーシュー抜きでも500円のほうがありがたかった。残念である。

注文すると、温かい麺か冷たい麺かを尋ねられる。冷たい麺にした。

麺は大勝軒の麺だ。ストレートな太麺で、口当たりはつるりとしているが、噛むともちもちしている。茹で加減は良く、しっかりと水で締められていることもあってか、コシもある。あつもりではなく、ひやもりにして正解だった。口当たりの良さとコシは、ひやもりにしたからなのだと思う。

タレはインドカレーだ。バリバリ黄色のターメリックがちがちタイプで、カルダモンがホールで丸ごと入って*いる。具はチャーシュー、ソーセージ、カクテキ、ゆで玉子が半個だ。

麺をカレーに絡めながら食べる。美味い。かなり美味い。カレーはしっかりとスパイシーだ。直接的な辛さはそれなりなのだが、食べ進めるとしっかりと汗をかく。大勝軒の麺をカレーに絡めて食べることに少し罪悪感を覚えるが、なんて美味いのだろう。頬張って食べる。

カレーに浸ったソーセージも美味い。カクテキはまずはカレーと混ぜずに麺と食べた。悪くはない。半分はカレーと混ぜて麺と食べた。カレー味がカクテキを包みこむ。美味いというほどでもないが、食感は面白い。食べ飽きずにすむ。ゆで玉子もカレーに浸してから食べる。やはり美味いというほどではないのだが、辛味がマイルドになって味の変化が楽しめる。チャーシューは硬かった。これだけはよろしくない。

ばそカリーはジャンクな一品だ。大勝軒の麺、インドカレー、カクテキ、これらをミックスするなんて何でもありの世界だ。しかし美味かった。そして満腹だ。

2011年09月11日ばそカリー

ばそカリー

2011年9月11日に江戸川橋大勝軒で、ばそカリーを食べた。600円だ。

前回、ばそカリーを食べたときに衝撃を受けた。全く期待していなかった。ところが美味かった。しかも満腹になった。これは食べ方次第では絶品メニューになるのではないかと思った。実際にレッドカレーつけ麺なるものを自宅で調理して食べてみたりもした。最近は、ばそカリーの衝撃のなかで暮らし続けている。

そんななか、蒙古タンメン中本が高田馬場駅前ドンキ地下でオープンした。実際に覗いてみたりもしたが、かなり混雑していた。当然、列にも並ばない。今回は同じ辛いメニューということもあって、江戸川橋大勝軒で、ばそカリーを食べることにした。辛さの程度は違うが、きっと満足できるだろう。期待は膨らむ。

自宅で類似品を調理する参考にと厨房を覗き込んでみた。

麺はいつのまにか茹で始められ、カレーも小さなフライパンで温められはじめていた。そのフライパンに白い液体が大量に入れられた。ミルクなのだろうか。気になる。麺が茹で上がる。流水に長めに晒して、その後は軽く洗うだけで、水はほとんど切らずに丼に入れる。丼の底には滴り落ちた水が溜まるに違いない。そのうえにカレーをかける。この時点で嫌な予感がしていた。

予感は当たった。食べ進めた後で確認したのだけれども、丼の底には薄まったカレーが溜まっていた。残念としか言いようがない。

そして具にはチャーシューがなかった。具はソーセージ、カクテキ、ゆで玉子が半個だけだった。前回がサービスだったのかもしれないが、そうであれば今回は最悪だ。ぬるめで薄いカレーにチャーシュー抜きの、ばそカリーになってしまっている。前回と今回であまりにも落差が大きすぎる。

東洋水産株式会社のつけ麺専用中華麺を購入しよう。大勝軒の山岸一雄氏監修だ。美味い。カレーはレトルトでいい。これだけで今回の残念なばそカリーを超える美味いばそカリーが食べられるはずだ。江戸川橋大勝軒のばそカリーは美味いときは本当に美味いが、美味くないときは本当に美味くない。当たりハズレがありすぎだ。アイデアだけありがたく頂戴することにしよう。

店舗

営業時間

11:00から20:00まで。

住所

文京区関口1-19-5 弥助ビル別館1F

参考

つけそば 丸長 目白店

店外観 やさいつけそば大盛

訪問履歴

  1. 2011年07月09日やさいつけそば大盛

店舗

営業時間

11:00から15:00。定休日は日曜日・祝日。

住所

新宿区下落合3-19-4

目白駅から西に徒歩数分。

参考

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作者:馬場飯