日高屋のチゲ味噌ラーメンからの卒業 - 高田馬場B級グルメ

日高屋 チゲ味噌ラーメン

2019年11月に日高屋チゲ味噌ラーメン大盛を食べた。630円である。麺大盛り分はモリモリサービス券で無料になった。

日高屋のチゲ味噌ラーメンとは、白菜キムチ、豚肉、玉子、ニラ、タマネギが具材のキムチチゲ風の辛味噌ラーメンである。期間限定メニューである。毎年11月下旬頃に販売が開始され、春を迎える前には販売が終了する。2019-2020年の冬シーズンは、2019年11月22日(金)が販売再開日となった。

日高屋のチゲ味噌ラーメンは変幻自在だ。作り手によって見た目も味も変化する。今シーズン初のチゲ味噌ラーメンを観察する。溶き玉子が多い。同時に三杯のチゲ味噌ラーメンを調理していて、溶き玉子をスープに注ぐときに、他の二杯よりも多めに溶き玉子を注いでしまった一杯なのかもしれない。溶き玉子が目立つ分、白菜キムチとニラの存在感がやや薄くなっている。タマネギの存在感は皆無に等しい。

日高屋の公式サイトでチゲ味噌ラーメンの販売再開をアナウンスしていたのだが、一つ気になっていたことがあった。ニラ、白菜キムチ、玉ねぎとオリジナルの味噌、辛さを効かせた味噌を使用。炒めた具材とスープと合わせることでコクのあるスープに甘さと辛さが加わり、更に溶き卵を入れたことで味がまろやかに!とある。豚肉に言及されていない。今シーズンは豚肉の提供を中止してしまったのだろうか。

たとえ極少量だったとしても豚肉が入るか入らないかで味が変わる。野菜炒めをつくるとき、どんなに手間がかかろうが、少しでも豚肉を入れると美味さが増すのだ。とはいえ、面倒で豚肉抜きで炒めてしまうことのほうがむしろ多いのだが、入れたほうが間違いなく美味い。座右の銘は、自分に優しく、他人に厳しくあれ、だ。自分で調理する場合、手間がかかるならば豚肉を抜いても仕方がないと思えるのだが、他人に調理してもらう場合、手間がかかろうがコストがかかろうが、たとえちょっぴりでも豚肉を入れて炒めてもらいたい。

提供されたチゲ味噌ラーメンに豚肉を探す。いた!ちょっぴりだが、いた!素晴らしい。これで安心できた。

まずは一口スープを啜る。美味い。甘辛い味噌スープだ。辛みよりも甘みが際立つ。辛みは弱く、だが少しでも辛さを感じるから、甘さが引き立たされている。続けて、二口、三口とスープを飲む。記憶のなかのチゲ味噌ラーメンのスープよりも甘みが強いスープになっていた。濃厚さは記憶そのままだが、酸味はあんまり感じない。ベースとなる味噌の旨みがしっかりとしていて、美味い。ただ、美味いんだけれども、やっぱりもう少し辛みが欲しくなるところではあった。

具を退けて、麺を引き出す。もっちりした平打ち麺だった。最後に食べたとき、チゲ味噌ラーメンの麺の印象が薄れてしまっていた。数ヶ月ぶりに出会ったチゲ味噌ラーメンの麺は、いつもの日高屋のもっちりした平打ち麺だった。こうして書き残すことができたので、もう忘れても大丈夫だ。見直すことで思い出せる。そして、それとは別に、少し残念に思う。日高屋のもっちりした平打ち麺がそれほど好みではないのだ。本当は加水率の高い中細の縮れた中華麺が好きのだけれども、こればかりは仕方がない。

溶き玉子や白菜キムチ、ニラ、タマネギといった具と一緒に麺を啜る。麺それ自体のスープの持ち上げはそれほど良くはないが、スープは具に絡んで口中を満たす。幸せだ。見た目通りに溶き玉子の量が多かった。麺を啜ってから、レンゲに溶き玉子をのせ、スープを掬って啜る。麺を啜ってから、レンゲに溶き玉子と白菜キムチをのせ、スープを掬って啜る。といった具合に、麺と具・スープを交互に食べ進める。美味い。

異変に気づいたのは、丼半分もまだ食べ終えていない頃からだった。美味いんだけれども、夢中にはなれない。やや食べ飽きはじめているようなのだ。数ヶ月もの間、チゲ味噌ラーメンを食べていない。待ちに待った久しぶりの最初の一杯だ。無我夢中で完食するのではなかったのか。

実際には、シーズン1杯目の途中で、確かに食べ飽きはじめていた。美味いのは間違いない。ただ、今までの人生のなかで既に何十杯と食べ尽くしてきてしまった。いったん日高屋からのチゲ味噌ラーメンから卒業する頃合いなのかもしれない。

チゲ味噌ラーメンを食べながら、福しんニラそばのことを思い出していた。まだ未知の世界が広がっている。日高屋でチゲ味噌ラーメンを食べるならば、新鮮味のある福しんのニラそばのほうをむしろ食べてみたいかもしれない。

また、あらためてバクダン炒め定食が気になってしまった。バクダン炒め定食は2019年10月1日の消費税増税前で680円、増税後で700円で+20円の値上げだ。チゲ味噌ラーメンは2018-2019年に610円、2019-2020年に630円で+20円の値上げだ。70円差をキープしている。だが、チゲ味噌ラーメン登場の2011年まで遡ってみると、バクダン炒め定食が650円であるのに対して、チゲ味噌ラーメンは560円で、価格差は90円となる。チゲ味噌ラーメンが頻繁に値上げされたことで両者の価格差はいつのまにか縮まっていたのだ。

次回の日高屋訪問時にはチゲ味噌ラーメンではなく、バクダン炒め定食かキムチ炒飯かを注文してしまうかもしれない。

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作者:馬場飯