松屋の鮭茶漬けは一気呵成に食べろ - 松屋ファンクラブ
松屋の朝定食として鮭茶漬けが390円で販売された。朝メニューのため午前5-11時の時間限定でテイクアウトもできない。
松屋は2019年11月12日に一部店舗限定で新しい朝ごはんの販売を開始した。新メニューは10種類あるが、二つに分けられる。松屋内ではパターンGとパターンCと呼ばれている。パターンGの朝メニューを販売する店舗ではパターンCの朝メニューを販売しておらず、パターンC店舗ではパターンGを販売していない。松屋の鮭茶漬けは、ハッシュブラウン朝定食、焼さば朝定食、糖質オフ朝定食、たまごかけ朝定食とともにパターンGに属する。パターンG店舗はパターンC店舗よりも数が少ない。パターンGの新しい松屋の朝ごはんを食べるのは至難の業だといえる。
松屋の鮭茶漬けは画期的で衝撃的な朝定食だった。
松屋の鮭茶漬けは、ライスの上に刻み海苔が敷かれ、焼鮭の切り身が丸々乗せられている。焼鮭の上には青ねぎが添えられる。他に、急須、ミニお新香、わさびがつく。
松屋の鮭茶漬けは、ひつまぶしのように手順を踏んで食べていきたい。
- 鮭でライスを食べる
- 鮭にお新香、青ネギ、刻み海苔をあわせて食べる
- お茶をかけて鮭茶漬けで食べる

まずは鮭でライスを食べるのだが、最初から躓いた。松屋の鮭茶漬けの鮭は、予想通りペラ鮭だった。厚みのない薄いペラペラした鮭である。そして表面にややぬめりを感じる。見た目からして残念な鮭である。吉野家の牛鮭定食の鮭といい勝負だ。甲乙つけ難く美味そうなのではない。甲乙つけ難く不味そうなのである。松屋の朝メニューで焼鮭定食を注文することはないが、引き続き今後も注文することは決してないだろう。
牛丼チェーン店では鮭とさばで明暗が分かれるようだ。松屋の焼さば朝定食とすき家のさば朝食の焼さばは見事に美味かった。鮭はダメだ。牛丼チェーン店で魚を注文するときには、鮭ではなくさばを選ぶと、満足する飯にありつくことができる可能性が高まるような気がする。
鮭に箸を入れる。身のほぐれ方は良い。小骨に気づく。小骨を取り除いて、まずは一口、ご飯と一緒に食べてみようとしたのだが、愕然としてしまった。ライスが通常の松屋の硬めの炊き具合のご飯ではないのだ。松屋のライスは、通常、米の一粒一粒が立っていて美味い。今回の松屋のライスは、複数の米粒が塊となっている。柔らかめの炊き加減のご飯だ。吉野家の柔らかめに炊かれたご飯に似ている。好みではない。むしろ許せない。とはいえ、食べることは食べる。ペラ鮭に柔らかめのご飯だ。美味いはずがない。食べられないわけではないが、美味くはない。これは絶対だ。憂鬱になる。
続けて、お新香、青ネギ、刻み海苔をあわせて食べる。少しマシになった。後は、早々に茶漬けにして全て平らげて店を出ることにする。
鮭茶漬けの準備をはじめる。まずは鮭の骨を全てとるため、鮭を箸で持ち上げようとしたのだが、そのとき何かに気づいた。鮭の下に何かがいる。お茶漬けの素だった。お茶漬けの素がご飯の熱で温められてジェル状になっている。小さなアラレもいた。茶漬けとは、まさかお茶漬けの素による茶漬けだったのか。急いで急須の中身を確認する。小鉢に少し注いでみた。熱湯だった。お茶ではない。確定した。松屋の鮭茶漬けとは、お茶漬けの素の茶漬けだったのだ。
あまりのチープさ加減に何だか楽しくなってきてしまった。鮭から骨を取り除いて、身をほぐして、バラバラにする。そして熱湯を注ぐ。濃いめの味で食べたかったので、熱湯の量は少なめにした。わさびをパックから絞り出して、準備が完成だ。
食べる。ところが何だろう。普通に悪くないのだ。あれほど個々のパーツは美味くなかったのに、全てを融合させると悪くないのだ!お茶漬けの素も久しぶりに食べたのだけれども、何だか懐かしくて美味い。そうなのだ。悪くないばかりか、美味いのだ!
お新香とあわせて食べる。お新香の塩分が茶漬けにあう。お新香は神だ。わさびとあわせて食べる。わさびの辛味が茶漬けの味を引き締める。わさびも神だ。美味い。間違いなく美味い。全てが報われたような気がする。何にもしていないにもかかわらず、妙な達成感がある。美味いは正義だ。
鮭はほぐして茶漬けにすると、ペラ鮭どころか、その存在感を発揮してくるし、表面のぬめりも一切気にならなくなる。柔らかめの炊き加減のライスも、茶漬けになると、それはご飯ではなく、茶漬けになるのだ。ご飯は硬めの炊き具合が好みだが、茶漬けのご飯は硬めでも柔らかめでも、それほど気にならない。おじやは好きではないが、茶漬けなり雑炊なりは嫌いではない。
松屋の鮭茶漬けは、個々の具材を味わって食べるのではなく、最初から鮭茶漬けとして食べるのが良い。そして、鮭茶漬けにお新香とわさびとあわせて食べると、間違いなく美味い。
松屋の鮭茶漬けとみそ汁
松屋の鮭茶漬けは、ライスの上に刻み海苔が敷かれ、焼鮭の切り身が丸々乗せられている。焼鮭の上には青ねぎが添えられる。他に、急須の熱湯、ミニお新香、わさびがつく。そしてさらに、松屋の鮭茶漬けにはみそ汁がつく。松屋の鮭茶漬けを美味しく堪能した後に、締めのみそ汁を飲んだ。ほっと一息つけた。落ち着く。ありがたい。
そして、店頭の吊り看板の画像をスマホで確認した。松屋の店頭吊り看板では、鮭茶漬けにみそ汁はついていなかった。記憶に間違いはなかった。今回、鮭茶漬けにみそ汁が添えられた理由として最も可能性が高いのは、店員のミスだろう。吊り看板が誤っていた可能性は極めて低い。ただし、吊り看板の印刷後に、みそ汁が添えられる方針に変更された可能性は僅かながらもあり得る。松屋のみそ汁愛は本物だからだ。

松屋のみそ汁は松屋が数店舗しかない頃から無料サービスされ続けてきた。みそ汁は松屋のロゴにも採用されており、大きな赤丸がお盆で、青丸が丼、そして黄丸がみそ汁椀だ。それにあらためて看板の店名も眺めてみると、「松屋」の「松」の「ハ」のところが、丼とみそ汁椀に見えてくる。みそ汁は松屋の看板なのだ。みそ汁こそが松屋の看板なのだ。
今回、鮭茶漬けにみそ汁が添えられたのは店員のミスだった可能性が高いが、店員は立派な松屋の店員だと思う。鮭茶漬けを運ぼうとしたとき、みそ汁がないことを不審に感じて、みそ汁を追加したはずだからだ。松屋のみそ汁愛という理念にかなった行動だ。
客も試される。鮭茶漬けが運ばれたとき、みそ汁が添えられていることに疑念を感じたのだが、その疑念を店員に打ち明けられなかった。「鮭茶漬けにみそ汁はつきましたっけ?」
言葉が出なかった。もう残すことは許されない。絶対だ。他の何かを残したとしても、みそ汁だけは飲み干そう。鮭茶漬けが運ばれた数秒後、そう決意した。……そして、今回の出来事で松屋のみそ汁への想いを深めることができた。
鮭茶漬けの企画立案時にも、みそ汁を無料サービスでつけるかどうか、会議で議題になったに違いない。松屋のみそ汁愛は本物だからだ。
社員A「鮭茶漬け提供時にみそ汁を無料サービスすることを真摯に検討しましたが、どうしてもできません」
社員B「それは松屋の魂を汚す発言です。撤回してください」
社員A「もちろん俺だって、本当はみそ汁をつけたいさ!でも、どうしても無理だったんだ…鮭茶漬けに、みそ汁は…申し訳ない」
社員B「承知しました。でも、店員が誤ってみそ汁を提供してしまっても不問に付しましょう。それでこそ松屋ですから」
松屋のみそ汁愛は他社と比べ物にならない。客側もついていくのが必死だ。
松のやの冷やしロースかつ茶漬け定食は松屋の鮭茶漬けの伏線?
松屋の鮭茶漬け誕生の伏線は、2019年6月12日から松のやで販売された冷やしロースかつ茶漬け定食にあったのかもしれない。冷やしロースかつ茶漬け定食は、ロースかつ、ライス、冷たい昆布茶のセットで、おしんこ、刻み海苔、ごま、練り梅、わさびがつく。冷たい昆布茶の入った急須は、松屋の鮭茶漬けの急須と同じものだ。
実は鮭茶漬けを食べに行く前から気づいていた。
だが、冷たい昆布茶が提供されるはずがない。11月だ。温かい昆布茶が提供されるのではないか。温かい昆布茶で鮭茶漬けというのは美味いのだろうか、仮にマズイとしたら別の温かいお茶に変えてくるに違いない。緑茶だろうか。ほうじ茶だろうか。塩加減は何をもって調整してくるのだろうか。興味が尽きない。
ところが、実際に食べてみたら、お茶漬けの素だったわけで、しかも、お茶漬けの素で美味かったわけで、予想の斜め上を行かれることほど、こんなに楽しいことはないと感じられた食事になった。
作者:馬場飯